じゅくのせんせい
僕は塾の先生をやっています。
会社に入ったときからずっと、塾の講師をしています。
最初はマスコミ志望でした。そこがあまりにも狭き門で、
それをあきらめた第二志望が私教育業界だったのです。
教員免許はなかったので(妹は持ってます)、ホソボソと塾の先生をしています。
今までは東大を目指すブログだったので、東大に対することを色々と書き連ねていたのですが、それが一旦終わったので、今は仕事について。
◯年間小学生を教えて、◯年間個別指導で小・中学生を教えて、今の会社に転職しました。
理由は、講師でなくなったから。(事務職になったから)
自分が講師でなくなって、一年間やってみましたが、どうしてもだめでした。
事務職になる1年前に4年生だったAちゃんという女の子がいました。とても素直で、長女。ニコニコしていて、できなかったら「できるまで頑張る!」というタイプの子。
なんと、お父さんに「クリスマスプレゼントはいらないから、私を塾に行かせてください」という子。こんな子は今までの生徒指導の中で見たことがありませんでした。
彼女は5年になったときに、他県に引っ越しのため転校していきました。
彼女が6年になったとき、校舎に手紙が着ました。
しかし、私はもうその校舎長をはずれ、本社勤務の事務になっていたので、本社に電話がかかってきました。
引き継いだ女性社員「あの~ アバランチさん、前の生徒からハガキ来てますよ。本社に移ったって言ってないんですか?無駄な仕事なんですけど…ぐだぐだ」
アバランチ「・・・・その子、僕が本社に行く一年前に引っ越した生徒なので、僕がまだその校舎にいると思っているんです。ハガキ取りに行きます(ホンマにクズやなこの社員)」
一応仕事ですから
女性社員にはお詫びを形だけして、本人にハガキを送ると即電話が来ました。本社に。わざわざ本社の番号調べてくれたんですかね。
「今、結構厳しい塾に通ってるけど、先生のくれたノート見てがんばってます!」
なんていい子だ。
彼女の入試がいつあるが、私は知るすべがなかったし、多分1月のセンターころだろうな…と思っていた。私もセンターを受けたので、勉強でそれどころではなかったが、センターの二日後に電話。
「アバランチくん、◯◯さんって昔持ってた生徒?から電話だよ」
「は・・・・・? は、はい!」
「先生?」本人でした。
「久しぶり!」
声は変わっていないが、言葉の喋り方は少しだけ大人びていました。6年だもの。
「受かりました!」
「おめでとう。でも、ごめん、僕キミの受けた学校知らない。ごめんね」
「◯◯女子です!」
あ、家から1番近いって言っていた、某大学付属は受けなかったのか?
ここでお母様にチェンジ。このお母様、お子様をたくさん産んでいる肝っ玉かあさん…の割には、非常にフランクで、引っ越すときに初めて泪を見せてくださったかた。
「娘が、ここにぜったい行きたい、っていいまして…」
ああ、この家庭はとにかく娘さんの意思を尊重する家庭だったな。
お父さんもすごくダンディで、こんな親父になりたいと思ったもんだ。
妹も、お姉ちゃんをすごく尊敬している感じ。
「本人様が行きたい学校が1番ですよ。」
紋切り型の言葉しか言えなくなっている自分が恥ずかしくもありました。
何しろ面談などからは1年離れています。
4年のとき、引っ越し祝いでわたした「オクトバス」(置くとパス、という受験界ではわりと有名なマスコットキャラ)のキーホルダーを持って受験したとのこと。もう二年も経ってるだろ。
決めた。
やっぱり、授業を、しよう。
その二日後、アバランチはその会社に退職届を出しました。
人生初の転職でした。